私だけの未確認飛行物体(無重力帽子)

◎ 私だけの未確認飛行物体

ピコペタのロゴマークでもある『帽子』のご紹介です。

まだ子供だった頃、わたしのおじいさんが被っていた帽子。
グレーのハットで見るとなぜか不思議と少しワクワクした。

紳士や大人やおしゃれへの憧れなどではない、だけどどうしても惹かれる。

おじいさんの留守を狙っては、持ち出して眺める。
決して被りたいわけではなくて、手に持ってはグルグルと眺めるだけ。

だって、その帽子は無重力で、
わたしが見てる間だけは空中を飛び回っていたんだから。

もちろん未確認だけれど、あれは確かに飛行物体だった。

その帽子が飛んでいる間だけは、
おじいさんのその部屋は宇宙空間に変わっていて、
銀河の星々がどこまでも広がり、
帽子は上手に星を避けながら飛ぶんだ。

遠くから音がして、おじいさんが帰ってきたことに気がつくと、
その宇宙は消えて、帽子は帽子掛けに慌てて着地するんだ。

◎ 象を飲み込んだウワバミ

———— 誰にでもきっとあったそんな子供の頃のこと。

サン・テグジュペリの童話『星の王子さま』のあの「象を飲み込んだウワバミ」のように、大人には帽子に見えるその絵は、子供には“象を飲み込んだウワバミ”の絵に見える。

子供だったあの頃、円盤やタイムマシンなどの不思議に少し憧れていて、ちょうど良い灰皿は家にはなかったから、おじいさんのハットがちょうどよかったんだと思う。

一人きりで遊ぶには、本などを読むのも悪くないけど、なにもせずにただ“想像遊び”をするのが、わたしの一番好きな時間の過ごし方だった。

そんな帽子で遊んでいた少年時代も過ぎて、それから何十年かの間に思い出したことや知ったことが多くある。不思議だったことの答えが見つかったり、あの飛行物体は本物は帽子型ではないということもわかったことだし、この星や時間の全てがとても大切だということも知った。

あの頃、確かに帽子型の未確認飛行物体はわたしの目には見えていたんだけど、もう随分と多くの時間が過ぎた今は、自分自身が帽子を被るようになりました。

ピコペタWebサイトオープンにあたり、最初のご紹介のための内容をいくつか掲載しています。よろしければ合わせてご覧ください。

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